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Sラボチューターブログ「東京大学 進学選択制度とは?」

こんにちは!現在Sラボでチューターをしております、東京大学文科三類2年の佐々俊之です。


早速ですが、本日は「東京大学 進学選択制度とは?」というテーマで、その制度の概要や私自身の経験を記していこうと思います。


そもそも東京大学の進学選択制度について、その存在を知らなかったという方もいると思いますので、基本的なところから簡単に説明していきます。

東京大学の入学試験を受験する際は、一般的な他大学がそうであるように学部を一つ選んで出願するというわけではなく、「文科一類、文科二類、文科三類、理科一類、理科二類、理科三類」のいずれかを事前に選んで出願することになります。 それぞれの科類で定員が設けられており、一次試験と二次試験の点数を換算したものを元に合格者が決定する、というわけです。 晴れて入試を突破し、東京大学に入学した学生は、一二年生の2年間は「前期教養学部」に所属します。 前期教養課程のおいては、リベラルアーツをモットーとして、文理問わず幅広い学問に触れることになります。 前期教養課程の中で取得しなければならない単位は科類によって異なりますが、文科生は理系科目を、理科生は文系科目を一定単位取得することが”必須”となります。 実際に、文科生の私自身も「地球惑星環境学」や「適応行動論」といった理系科目の授業を履修しました。 個人的には、幅広く学問に触れることができる前期教養課程のこのシステムは非常に魅力的でしたが、学生の中には「文系なのに理系科目の単位を必ず取得しなければならない」と負担に感じる人もいるようです。


2年間の前期教養課程を無事修了すると、次は後期課程に進学することとなります。 この後期課程こそ、皆さんがおなじみのように「法学部」や「医学部」など「〇〇学部」とつくものです。 では、後期課程で所属する学部は、いつどのように決定するのでしょうか。 ここからが、「進学選択制度」の具体的な説明となります。


進学する学部が実際に決定する時期は、2年生の8月末~9月末です(2年生になった段階で諸々の手続きが始まります)。 自分が進学する学部は、選択肢の幅はありながらも、全く自由に選択できるわけではありません。 各学部/学科は際限なく学生を受け入れてくれるわけではなく、当然、定員が存在します。 したがって、特に人気の学部/学科においては志望者が定員をオーバーすることがざらにあり、全員が希望する学部/学科に進学できるとは限らないわけです。 そこで、重要になるのが「前期教養課程における成績」です。 つまり、志望者の中で成績が上位の者から、その学部/学科への進学が内定していきます。 しかしながら、前期教養課程における各科類の学生全員が同じ土俵で争うわけではありません。 ほとんどの学部/学科には、「指定科類枠」と「全科類枠」の二つの定員枠があります。 「指定科類枠」においては、例えば「法学部は文科一類から268人」のように、特定の科類から進学できる数を定めています。 一方で「全科類枠」においては、その名前の通りで、科類にかかわらず志望ができ、成績上位順に進学内定者が決定します。 ほとんどの学部/学科においては、この「全科類枠」が設置されているため、文科生が理系学部への進学を志望することが可能です(逆も然り)。 以上のように、進学選択制度とは、前期教養課程で文理問わず幅広い学問に触れ、その中で自分が興味を持ったことについて専門的に学べる学部を、”入学後に”選択することを可能にする制度なのです。


ここからは、私自身の体験を記していこうと思います。 そもそも、私は高校時代から特定の学問に興味があったわけではなく、どの学問にもある程度関心があって、少しずつでも学んでみたい、という気持ちを抱いていました。 東京大学前期教養学部は、まさにそれを可能にする場であり、これこそが東大を志望する動機の一つとなりました。 しかしながら、受験生だった私は、当時進学選択制度について詳しいことはよく理解しておらず、「合格最低点が低いから」という理由で文科三類に出願したのです。 今思えば、もう少し後期課程で進学する学部について考慮した上で出願する科類を決定するべきだったと感じています。 というのも、上述のように進学選択においては「指定科類枠」と「全科類枠」が設けられており、例えば「268人の指定科類枠が設けられている文科一類から法学部へ進学する」ことと「12人の全科類枠にのみ出願できる文科三類から法学部へ進学する」のとでは、後者のほうが成績の争いが激しく、前者の方が遥かに(言い方は悪いですが)進学することが楽なのです。 当然、文科三類からは、文学部や教育学部に多くの「指定科類枠」が設けられているため、そこに進学することは比較的容易になります。

結果から言うと、私は教養学部総合社会科学分科国際関係論コースという第一希望であった学科に進学することが決定しました。 この学科はそもそもの定員が限られている上、人気の学科であるため、進学の内定のために求められる成績は必然的に高くなります。 その中でも、文科三類からこの学科へ進学するには、例年特に高い成績が求められます。すなわち、文科三類からこの学科を志望するのはあまり安全な道ではなかったのです。 この学科を志望した理由は、前期教養課程において履修した、国際関係論の授業や国際関係史の授業、難民に関するゼミなどを通して、漠然と国際関係について興味を持ったからです。 学科の人数が少ないため学科内部のつながりが強く、また国際関係について国際政治・国際経済・国際法の三つを軸として理解を深めることができる学科だと聞いているので、ここで勉強できることを嬉しく思っています。 名目上は2年生の終わりまで「前期教養学部」に所属していますが、後期課程の授業自体は来週から早速始まるということで、若干緊張していますが、楽しみでもあります。


昨年春に東京大学に入学して以来、パンデミックの状況下で授業のためにキャンパスに通う機会がほとんどなく、オンライン授業が続いていました。 オンライン授業開始当初は、使い慣れないパソコンと格闘しながら、顔の見えないクラスメイトと交流を深め、かつ複雑な進学選択制度を理解するのには相当苦労しましたが、一年以上が過ぎた今はこの環境にそれなりに適応してきたのではないかと思います。 感染が収束に向かい、後期課程ではキャンパスで先生や友達と直接顔を合わせて過ごせるようになることを願います。

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